切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
俺の肩をポンポン叩いてなだめ、助手席にいる水嶋に声をかけた。
「有能であればですが?」
さらっと毒を吐く水嶋の言葉に晴人は苦笑い。
「やだなあ。俺、優秀だよ。それに、玲司教に入ってるから、裏切らない」
「そこは重要ですね」
フッと微笑して水嶋は相槌を打つ。
「ホント、お前達は勝手なことばかり言ってるな。ところで、今朝美月の様子が少しおかしかったんだ。晴人、しばらく彼女から目を離さないで欲しい」
「了解。隠密行動は好きだよ。ね、俺もちゃんと役に立つでしょう?玲司さんも仕事に集中できるし」
恩着せがましく言う彼をギロリと睨んだ。
「悪ふざけはそこまでだ。矢島がそのうち動くかもしれない。仕事が終わったら連絡するように美月に伝えてはいるが、何が起こるかわからない。油断するな」
真剣な眼差しで告げれば、晴人はいつになく真面目な顔で頷いた。
「わかってるよ」
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