切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
「嘘つきだな。俺の目を見て言えよ。彼女になんて言った?」
語気を強めて問い詰めれば、彼は俺の怒りを感じたのか白状した。
「……兄さんと別れて欲しいって彼女に言った。お金を渡して別れさせようとしたけど……拒否された」
美月なら当然拒否するだろう。
彼女は俺の持っている金目当てで一緒にいるわけではない。
きっと斗真の話を聞いてショックだったはずだ。
それに、弟と話をしたということは、俺が社長の息子ということも知ってしまっただろう。
今頃頭がパニックになってるな。
「お前は馬鹿だ」
持っていた書類でパコンと斗真の頭を叩けば、弟は驚いた顔をする。
「俺の未来のかみさんは金なんか積んでも動かない。お前、一生美月に頭が上がらないかもな。後で彼女に謝れよ」
キツく言って聞かせれば、弟は申し訳なさそうに謝った。
「……兄さん、ごめん」
斗真も充分反省しているはず。
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