切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
これ以上責めても意味はない。
その後は、今後の経営方針について斗真や水嶋と話し合う。
気づけば定時を二十分ほど過ぎていて、斗真たちとの話が終わると、ポケットからスマホを取り出した。
もう美月は仕事は終わっているだろう。
多分、斗真と話をして酷く動揺しているはずだから、俺や晴人に仕事が終わったと連絡はしないだろう。
彼女に電話をかけるが繋がらない。
たまたま出られないのか、それとも避けられているのか……。
「彼女出ないんだ?」
斗真も罪悪感を覚えているのか、彼女のことが気になっているようだ。
「ああ。まだ仕事をしているのかもしれない」
そう答えて、スマホをポケットにしまおうとしたら、晴人から着信があった。
スマホの画面を操作して電話に出る。
「どうした?」
「美月ちゃんがうちの会社の近くでさらわれた。若い男に黒のワンボックスカーの中に連れ込まれて……ほんの一瞬の出来事で……。今、タクシーでその車を追ってる」
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