切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
俺の問いかけに彼は頭を振る。
「和也さんは、まだみたいだな。だが、待ってる暇はない。店に入る」
美月になにかあったらと不安だった。
晴人や車を降りて来た水嶋の意見も聞かずに、スタスタ歩いて店の中に入る。
俺もかなり焦っていた。
受付に男性店員がいて、その首根っこを掴んで「矢島はどこだ?」と尋ねた。
「お前、誰だ?」とドスのきいた声を出す店員に、殺気を漲らせて言い放つ。
「俺の質問に答えろ」
だが、男は激しく抵抗し、俺はそいつの腕をねじり上げた。
「いて……離せ」
うめき声を出す男に、顔を近づけて言う。
「素直に喋ったら離してやる」
「……奥のVIPルーム」
男が腕の痛みをこらえながら言うと、その腕を解放して晴人の方を見た。
「そいつ見張ってろ」
「了解」
コクッと晴人が頷くと同時に奥にある黒い革のドアの方へ小走りで行く。
ドアに触れれば、鍵が閉められていた。
< 265 / 285 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop