切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
そう怒りを込めて言った時、和也さんの声がした。
「玲司くん、あとは僕達に任せてよ」
ポンと彼は俺の肩に手を置く。
和也さんは背は俺と同じくらい。艶のある黒髪と黒縁メガネが印象的。文武両道で、人望も厚く、噂では将来の警視総監との呼び声も高い。
本当は顔が腫れ上がるくらい矢島の顔を殴りたかったが理性で押さえる。
「頼みます」
和也さんに矢島のことを任せ、美月の元へ行く。
水嶋が服を着させたのか、彼女はもう下着姿ではなかった。
「美月」
彼女の名前を呼ぶが、ショックが強すぎたのか何も答えない。
"大丈夫か?"なんて聞けなかった。
彼女の姿を見れば、何があったかわかる。
「うちに帰ろう」
美月の身体に触れて抱き起こすが、彼女の様子が変だった。
身体に力が入らないみたいだ。
何か変な薬でも飲まされたか?
そんな疑問を抱けば、側にいた水嶋が俺に耳打ちする。
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