切愛願望～極上御曹司の庇護欲からは逃げられない～

呆気に取られる美月ちゃんを連れてエレベーターに乗り、彼女の部屋に向かう。
部屋の前に立つと彼女を振り返った。
「とりあえず、二日分くらいの着替えを用意して」
「あの……どうして？」
俺の指示に美月ちゃんは戸惑う。
「矢島がここに来たら、どう対処するの？」
腕を組んで少し厳しい口調で問えば、彼女はハハッと笑う。
「大丈夫ですよ。あの人は私がここに住んでいるなんて知りません」
「甘いよ。今日矢島に会ったのは偶然だろう？」
「……はい。でも、あんな偶然そんな滅多に起こら!?」
「矢島はまだ美月ちゃんに関心がある。ここを突き止められるのも時間の問題だよ。美月ちゃんが用意しないなら、僕が準備するけど。女の子の服選ぶの楽しそうだなあ」
ニコニコ笑顔で圧力をかければ、彼女は「だ、駄目です！　自分で用意します！」
慌てた様子で鍵を開けて、美月ちゃんは部屋に入る。