切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
矢島だって、寄宿学校にいる時はずっと会わなかった。今日はたまたま運が悪かっただけ。
そう心を決めてリビングに向かうと、ガラスドア越しに玲司さんがソファに座ってノートパソコンを広げているのが見えた。
その顔は真剣。
仕事してるのかな?
ノックしてリビングに入ると、彼は私を見て小さく笑った。
「リビングなんだからノックはいいよ。自分の家と思ってくれればいいから」
「……あっ、はい。まだお仕事ですか?」
気になって尋ねたら、彼は苦笑いしながら答える。
「まあ、店の帳簿とかいろいろね」
お店は終わってもお仕事は終わらないのかあ。
「お店を経営するって大変なんですね」
思ったままを伝えたら、彼はソファから立ち上がり、少しうんざりしたような顔でハーッと息を吐いた。
「面倒なことが多くて困るよ。今日は疲れただろう?明日、明後日は休みだし、ゆっくり寝ていいからね」
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