切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
心の中で訴えるも、彼はギュッと抱き締めてきた。
「マロン……こっち」
マロンって何?
ペットか何か?
状況はさらに悪化している。
これ……どうやって抜け出せばいいの?
彼はぐっすり寝ている。
「……私はペットじゃありませんよ〜」
玲司の耳元で囁くように言うが、彼の頬が私の頬に触れて石化した。
「れ、れ、玲司さん〜」
駄目。私……このままだと絶対に失神する。
「ん? マロン……こんなに大きくな……あれ?」
私の願いがやっと通じたのか、彼が目を開けた。
「美月ちゃん……?」
玲司さんが私の名を呟くが、その目はまだボーッとしている。
「玲司さん……そろそろ起きませんか?……ちょっと……苦しくなってきまし……た」
遠慮がちに言うが、彼とまだ目が合わない。
「う……ん。でも、眠いからもうちょっとこのまま」
まだ寝ぼけている彼は、私を背後から抱き締める。
心臓はドキドキ。
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