切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
「……もう十時? 美月ちゃんが寝たら自分の寝室戻るつもりがそのまま寝ちゃったな」
……なるほど。きっと玲司さんも疲れてたんだね。
何事かと思ってビックリしたよ。
玲司さんの説明に晴人さんはニヤニヤ顔。
「不眠症の玲司さんがそんなぐっすり眠るなんて珍しいですね」
「なんか久々に寝た感じ。俺、シャワー浴びてくる」
ベッドから立ち上がり、玲司さんは少しボーッとした様子で寝室を出て行く。
私も慌てて上体を起こして手ぐしで髪を整えると、ベッドを出た。
晴人さんにからかわれる前に何か言わなきゃ。
「晴人さんはいつも朝ここに来るんですか?」
「まあね。あの人放っておくと何にも食べないから。でも、もう俺が来る必要ないかなあ。お邪魔だろうし」
晴人さんの目が面白そうに光る。
わー、早速弄られた〜。
「全然邪魔じゃないです! 昨日たまたま私の母の愛人に会っちゃって、どこかに連れて行かれそうになったんですけど、玲司さんが助けてくれたんです」
一気に捲し立てる私を楽しげに眺めながら晴人さんは相槌を打つ。
「ああ、だから昨日玲司さん店に戻って来なかったんだ」
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