切愛願望～極上御曹司の庇護欲からは逃げられない～

「ごめん。うちのキッチンに誰か立ってるのって新鮮でね」
誰もここで料理をしないのだろうか？
玲司さんなら女の人にモテモテだし、恋人だっていそうなのに。
「彼女さんとかに作ってもらわないんですか？」
私の質問に彼はハハッと苦笑い。
「うーん、うちに他人をいれるのは抵抗あって」
「え？　でも、私だって他人ですよ」
思わず突っ込んだら、玲司さんは私を穏やかな目で見て微笑んだ。
「美月ちゃんはマロンに似てるからストレスは感じないんだよね」
私って……ペット扱いなんですね。
女どころか、人としても見られていないんだなあ。
「……はあ、そうですか」
少し気落ちしながら相槌を打って、四人がけのダイニングテーブルに料理を運ぶ。
玲司さんも手伝ってくれて、すぐに並べ終えた。
ふたり向かい合って座り、いただきますをするが、彼の反応が気になってすぐには食べなかった。