切愛願望～極上御曹司の庇護欲からは逃げられない～

「美月ちゃんにしては手厳しいね。でも、今、美月ちゃんがいる限り僕は餓死しないと思うよ。美月ちゃんに、お嫁に来てもらおうかな」
うわ、私の思考でも読んだのだろうか。
妄想でしか言われないようなセリフに、ドキッとする。
「玲司さん、冗談は止めてください」
嘘だとわかっていても本気にしちゃうよ、もう！
顔がにやけそうなのを隠すために、わざと彼を上目遣いに睨んだ。
「ごめん、ごめん。まあ、僕は結婚する気はないし、美月ちゃんはずっといてくれて構わないから。昨夜もうなされてたけど、また矢島の夢見た？」
玲司さんは急に表情を変え、じっと私の目を見る。
「……やっぱりうなされてたんですね。でも、どんな夢見たのか覚えてなくて」
玲司さんから視線を逸らし、今日の夢を思い出そうとするが何も浮かばない。
「声をかけたら治まったんだけど、またうなされるかもしないし、僕の寝室に運んだんだ」
心配かけちゃったなあ。
「わー、迷惑かけちゃってすみません。玲司さんの睡眠邪魔しちゃって」