切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
三十四階に着いてエレベーターの扉が開くと、社長や他の役員がたくさんいて縮み上った。
そこには今朝、私のキーケースを拾ってくれた常務の姿もあって……。
あ~、なんだか恥ずかしい。
ペコッと頭を下げながらエレベーターを下りる。
大会議室はどこだっけ?
キョロキョロ回りを見回せば、右手奥にそれらしきドアを見つけた。
あの観音開きのドアが大会議室だったはずだ。
役員の中をすり抜けるようにして足早に会議室に向かえば、ドンと誰かにぶつかり、床に資料をぶちまけてしまった。
あ~、私のドジ!
ぶつかった相手の顔を見ずに「すみません!」と謝って、資料を拾い集める。
すると、私の前に資料が何部か差し出された。
「あっ、ありがとうございま……す?」
礼を言って顔を上げれば、よく知った顔が目の前にあって、目を見張った。
え? れ、玲司さん〜?
シルバーフレームのメガネをかけた超絶美形がじっと私を見ているが、どこか冷たい雰囲気。
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