切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
そんな彼女の後ろ姿を見送ると、俺は寝室に向かった。
クローゼットを開け、ネクタイを締めてスーツのジャケットを羽織り、メガネをはめて腕時計をする。
美月ちゃんには商店街の会合があると伝えたが、実は今日は真田物産で役員会議があって顔を出さなければいけない。
それは、亡くなった祖父の遺言でもある。
メガネをするのは、会社には弟の斗真がいるから。
異母兄弟だが、背格好や顔立ちが似ていて、俺と弟とを間違える幹部も多い。
鏡を見て前髪をかき上げると、リビングに向かい、木製のチェストの引き出しを開けて、マンションのスペアキーを探す。
「確かここにしまっておいたような……」
晴人もうちの鍵を持っているが、今まで他の人間に渡したことはなかったな。
人と深く関わるのが億劫で、恋人と呼べる女性はいなかった気がする。
誘われてデートをすることはあっても、一度付き合えば十分で、また会いたいとは思わない。
心から愛せるような女性に会ったことがないのだ。
クローゼットを開け、ネクタイを締めてスーツのジャケットを羽織り、メガネをはめて腕時計をする。
美月ちゃんには商店街の会合があると伝えたが、実は今日は真田物産で役員会議があって顔を出さなければいけない。
それは、亡くなった祖父の遺言でもある。
メガネをするのは、会社には弟の斗真がいるから。
異母兄弟だが、背格好や顔立ちが似ていて、俺と弟とを間違える幹部も多い。
鏡を見て前髪をかき上げると、リビングに向かい、木製のチェストの引き出しを開けて、マンションのスペアキーを探す。
「確かここにしまっておいたような……」
晴人もうちの鍵を持っているが、今まで他の人間に渡したことはなかったな。
人と深く関わるのが億劫で、恋人と呼べる女性はいなかった気がする。
誘われてデートをすることはあっても、一度付き合えば十分で、また会いたいとは思わない。
心から愛せるような女性に会ったことがないのだ。