切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
「道理で晴れやかな顔してますね。ですが、うちの社員の女の子と同居しているなんて社長が知ったら、いい顔はしないと思いますよ」
水嶋が少し溜め息交じりの声で忠告するが、俺は不敵に笑った。
「それで縁を切られるなら俺にとっては好都合だ」
「お願いですから社長と揉めないでくださいね。機嫌を取るのが大変なんですから」
「お前の親父が上手くやるさ」
フッと笑って、社用車で真田物産に向かう。
会社に着いていつものように水嶋を連れて会議室に行くと、もうほとんどのメンツは集まっていた。
「では玲司さま、また後で」
水嶋は俺と目を合わせると、この場を去った。
どうせ大した議論もしないだろうに。
ハーッと溜め息を付きながら会議室に入ると、みんな雑談をしていたのに、俺の登場で静まり返る。
それは、いつものこと。
社長の愛人の息子ということで俺のこと毛嫌いする役員は多い。
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