切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
「お前はさあ、悔しくないのか?水嶋に自分を認めさせてやるって思わないのかよ?」
「兄さんと俺とでは器が違い過ぎるんですよ」
どこか諦めた口調で言う弟にイラッとした。
「器?馬鹿らしい」
「みんな知らないが今動き出しているプロジェクトの立案者は兄さんですよ。そのことを知れば、社長も役員も兄さんのことを見直すと思います」
普段会社には行かないが、俺は水嶋や斗真を通して社長に意見している。
俺は親父によく思われてはいない。
愛人の子である俺を引き取ったことで、親父は一族からも自分の妻からも冷ややかな目で見られるようになった。
斗真は必死な顔で言うが俺はフンと鼻で笑った。
「見直す……か。下らないな。俺は評価されたくてやったわけじゃない。会社のことを思ってしただけのこと」
そう言って会議室を出ようとしたら、ズボンのポケットに入れておいたスマホがブルブルと震えた。
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