切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
だが、とりあえず笑顔を作って渡辺君に「ありがと」と礼を言うと、自席の受話器を取って警戒しながら電話に出る。
「はい、松本です」
『美月久しぶり。ねえ、母さん会社の近くにいるの。これからお昼でしょう?会わない?』
五年ぶりに聞く母の声は、あまり変わっていなかった。
二十代の女の子のようなテンションの高いしゃべりに、頭痛がしそう。
母はまだ矢島といるのだろうか?
前に弁護士さん達に言われたし、母に会うのはよくないと思う。
私の就職先を知っているというのが不気味だ。
「ごめんなさい。忙しいから無理」
ボソッと呟くように返せば、『え〜、でも近くにいるんだから……』と母はごねる。
最後まで聞かずに、私はそのまま電話を切った。
なぜこの数日間で矢島に会って、母から連絡が来るの?
私は……矢島に会ったことを楽観視していたかもしれない。
玲司さんのマンションに引っ越して正解だった。
「はい、松本です」
『美月久しぶり。ねえ、母さん会社の近くにいるの。これからお昼でしょう?会わない?』
五年ぶりに聞く母の声は、あまり変わっていなかった。
二十代の女の子のようなテンションの高いしゃべりに、頭痛がしそう。
母はまだ矢島といるのだろうか?
前に弁護士さん達に言われたし、母に会うのはよくないと思う。
私の就職先を知っているというのが不気味だ。
「ごめんなさい。忙しいから無理」
ボソッと呟くように返せば、『え〜、でも近くにいるんだから……』と母はごねる。
最後まで聞かずに、私はそのまま電話を切った。
なぜこの数日間で矢島に会って、母から連絡が来るの?
私は……矢島に会ったことを楽観視していたかもしれない。
玲司さんのマンションに引っ越して正解だった。