彼女になれない彼女
箱事件
17時20分。
電車から降りてきた人たちが改札から出てきた。

その中に平良の姿を見つける。
部活帰り、ジャージ姿だ。

そっと近寄る。

「たいら!」
「おっ、どうした?」

平良はやっぱり驚いた。
こんな風に駅で待つのは初めてだったから。

「暇だから来てみた。」

そう言う私の目を平良は少しの間ジッと覗き込む。

「珍しいね。」

そう言うと、駐輪場に向かって歩き始めた。
私は後ろをついていく。

「俺、家でシャワー浴びるけど。」
「ああ、じゃあ平良の部屋で待つよ。」
「ふうん。」

私は昨日告白された。
嬉しくて、調子こいてるのが自分でもよく分かる。

平良は自転車を押しながら、私のペースに合わせて歩く。
「あー疲れたー」だの「ねみー」だの聞きながら家に向かう。
2人だと、歩きでもあっという間に感じてしまう。

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