彼女になれない彼女
平良の家に着いた。
玄関で靴を脱いで、平良の後を追って階段を上がる。

もう平良パパと平良ママは店の方で準備してる時間だ。

平良は部活のカバンをドサッと畳の上に置くと、ガサガサと洗濯するものやら弁当箱やら出し始めた。
そして着替えを準備すると、それらをざっくり両手に抱える。

「じゃあ、シャワー浴びてくるから、適当に座ってて。」
「分かった。」
「タッチはそこにあるから。」

平良が本棚を顎で指す。

「読まないよ。」
「読めよ。」

そう言いながら、平良は階段を降りていった。

一人残された部屋。

何しよっかなー。

しばらくすることがなくて、畳の上に座ってスマホをいじる。

うーん、暇だなあ。
タッチでも読むか。

本棚を見上げる。

マンガ本がたくさん並ぶ本棚。
上の段だけ参考書。

タッチ1巻を取り出す。
少しだけ読んでみる。

1話読み終えたところで、違う本が読みたくなる。
また本棚に目をやると、ふと私の目が止まった。

本棚の下から2番目の棚に小学校の卒業アルバム。

懐かしい・・・

思わず手が伸びる。

そっと取り出すと、一緒にコトッと何かが私の足元に落ちた。
視線を向ける。

「衝撃的快感!0.02ミリ!」と書かれた小さな箱。

え、これって・・・?

コンビニや薬局で見たことはあったけど。

え?

平良が買ったってこと?
平良が?

使うつもりなの?

その時、階段を上ってくる足音がした。

まずい・・・!

急いで元あったであろう場所に置く。
その隣に卒業アルバム・・・
タッチも戻さないと・・・

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