期間限定『ウソ恋ごっこ』

「俺はね、自分がアイドルなんかじゃないって知ってる。だから、みんなにウソをついてるみたいでずっと苦しかったんだ。でも美空ちゃんが、俺のことをキラキラのお星様だって言ってくれたろ？」


「はい」


「あの言葉、すごくうれしかった。こんな俺でも誰かを幸せにできているのかなって思ったら、救われた気がしたんだ」


……あ、それ、昨日のあたしと同じだ。


近藤先輩が、あたしに言ってくれたあの言葉がすごくうれしかったし、救われた気がした。


自分の価値を信じられずに孤独を感じていた伊勢谷先輩にとって、誰かの支えになれるってことは、すごく重要な意味を持つんだ。


「美空ちゃん、俺は俺のままでいいと思う？　本当はアイドルなんかじゃなくて、イジメられっ子の頃となにも変わらない俺だけど、このままみんなの前で笑っていてもいいと思う？」


先輩がとても真剣に聞いてきたから、あたしも正直に答えた。


「思います。だってあたし、やっぱり伊勢谷先輩が好きだし、先輩を見ると元気が出るし、とても幸せな気持ちになれますから」


昔イジメられっ子でも、周囲からの評価と本当の自分との違いに悩んでいても、先輩は先輩だ。


むしろ真面目な考えを知って尊敬する気持ちが強くなったくらいだ。


「先輩を慕う気持ちはこれまで通りぜんぜん変わらないです。先輩が大好きです」


「ありがとう、美空ちゃん」