期間限定『ウソ恋ごっこ』
「さあ、遠慮しないで入れよ」


先輩に促されて、自転車をガレージに入れさせてもらってから玄関に入った。


黒いタイル床の玄関は、障子(しょうじ)超しの柔らかく明るい光がいっぱい差し込んでいて気持ちいい。


フローリングの廊下を先輩の後に続いて歩いていくと、広いリビングルームが見えた。


高級感のある黒い革ソファーセットと、どっしりした木製テーブル。さり気なく飾られてる風景画や観葉植物が素敵だ。


「ここで座って待っててくれ。着替えてくるから」


そう言って先輩がリビングから出て行った。セレブ感漂う室内にひとりで残されて、急に心細くなる。


なんとなく遠慮しながらソファーに腰を下ろして、おずおずと室内を見回した。


すぐ隣のダイニングはセミオープンタイプのキッチンで、調理台が大理石みたいな柄でめっちゃツヤツヤしてる。
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