期間限定『ウソ恋ごっこ』
破壊音と共に砕けた卵の残骸と、ヌルッとした感触に硬直していると、背後から低い声が聞こえてギクリとする。


「……チビ」


「は、はい」


「ひとつ重要な質問をしていいか?」


「どうぞ」


「まさかお前、ぜんぜん料理できないとか今さら言わないよな?」


……あぁ、ついに来てしまった。避けては通れないこの質問。


どうにか言わずに済めばと思っていたけれど、あたしの秘密が暴かれるときが来たのね。


しかたない。めちゃくちゃ恥ずかしいけど、ここは正直に話すしかない。


「えっと、その、まさかです。実はまったく料理したことないんです。包丁すら握ったことない未経験者です」
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