期間限定『ウソ恋ごっこ』
「信じらんねえ」


腹の底から吐き出すような呆れ声に、さすがにちょっと反発心を覚える。


あたしは正面から先輩をキッと見上げて抗議した。


「それって差別じゃないですか!? 女なら料理ができるだろうって押しつけは、はっきり言って不愉快です!」


すると先輩も同じようにキッとした表情で反論してくる。


「そんな押しつけはしてねえよ。誰にだって得意不得意があるのは当然だ」


「じゃあ、なんで⁉︎」


「料理ができないのに、司の弁当係を引き受けたのが問題なんだ。司にまともな昼メシを食わせてやることもできないのに、どうするつもりだったんだ? 無責任だろ」


うっ。それを言われると痛いです。


言葉に詰まったあたしは、それまでの強い口調から一転して弱々しく言い訳をした。


「あたしだって断ろうと思っていたんです。でもいろいろ事情が重なって、断るタイミングを失っちゃったんですよ。本当に悪気なんかなかったんです」
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