期間限定『ウソ恋ごっこ』
「ありがとうございます先輩! 本当にありがとう!」
頭をブンブン上下に揺らしてお辞儀を繰り返すあたしを、先輩は苦笑いしながら眺めている。
「おい、そんなにぬか喜びすんな。教えてはやるけど、結局はお前の努力次第なんだからな」
「わかってます! めっちゃ頑張ります!」
「よし。今後の対策を考える時間が欲しいから、今日は俺が作る手順を見ていてくれ」
「はい!」
ボサボサになった髪を整えながら、あたしは元気に返事をした。
先輩がナスやタマネギを慣れた手つきでスライスしていくのを感心しながら眺めていると、先輩が不思議そうに聞いてくる。
「ところでお前、調理実習とかどうしてたんだよ」
「ずっと洗い物しながら、実際の調理からはうまいこと逃げてました」
実習ってグループで作業を分担するじゃん。だから全員が調理する必要ないんだよね。
あたしは洗い物担当で、調理過程で次々と出る汚れた食器類や道具類を、片っ端から洗いまくっていた。
「グループ実習のデメリットだな」
「各々が得意分野で責任を果たせばいいと思ってたので」
「苦手なことから逃げてただけだろが」
はい。その通りです。
返す言葉もございません。
頭をブンブン上下に揺らしてお辞儀を繰り返すあたしを、先輩は苦笑いしながら眺めている。
「おい、そんなにぬか喜びすんな。教えてはやるけど、結局はお前の努力次第なんだからな」
「わかってます! めっちゃ頑張ります!」
「よし。今後の対策を考える時間が欲しいから、今日は俺が作る手順を見ていてくれ」
「はい!」
ボサボサになった髪を整えながら、あたしは元気に返事をした。
先輩がナスやタマネギを慣れた手つきでスライスしていくのを感心しながら眺めていると、先輩が不思議そうに聞いてくる。
「ところでお前、調理実習とかどうしてたんだよ」
「ずっと洗い物しながら、実際の調理からはうまいこと逃げてました」
実習ってグループで作業を分担するじゃん。だから全員が調理する必要ないんだよね。
あたしは洗い物担当で、調理過程で次々と出る汚れた食器類や道具類を、片っ端から洗いまくっていた。
「グループ実習のデメリットだな」
「各々が得意分野で責任を果たせばいいと思ってたので」
「苦手なことから逃げてただけだろが」
はい。その通りです。
返す言葉もございません。