期間限定『ウソ恋ごっこ』
そんなふうに言われると断るのも気が引ける。


せっかくだからお受けしよう。近藤先輩の手料理を食べられる機会なんて、二度とないだろうしね。


「じゃあ、ごちそうになります」


「おう。じゃ、そこに座れよ」


なんとなく、先輩の声がうれしそうに聞こえた。テーブルの上に食事の用意をしてくれて、あたしの向かいの席に着く。


まさかこうやって、先輩とふたりで向かい合って食卓に座っているなんてね。昨日までは想像もしてなかった。


「いただきます」と挨拶をしてから、あたしはお味噌汁をひと口飲んだ。


「美味しい!」


お世辞(おせじ)じゃない言葉がスッと出た。


カツオの出汁(だし)のいい香り。味噌の味は濃くないのに、この香りのおかげでぜんぜん物足りない感じはしない。


天ぷらは衣がサクサク、揚げたてホカホカ。海老や野菜の旨味がギュッと凝縮されてる感じで、味も歯応えも最高!
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