期間限定『ウソ恋ごっこ』
先輩に他意はないんだし、あたしひとりドギマギするなんて変だっての!


「い、いいですよ。そんなお礼でいいなら、よろこんで」


変な意識はしていませんってポーズを先輩と自分自身に示すために、あたしは思い切りニッコリ笑ってそう言った。


声が少々上ずっているように聞こえるけど、気のせい気のせい。


「本当か!? やった!」


先輩がパッと表情を輝かせて、軽くガッツポーズをして喜んでいる。


またあのクシャクシャの笑顔で笑っているのを見て、あたしはさらに心拍数上昇中。


そ、そんなにあたしと一緒に食事できるのがうれしいのかな?


あ、いやいや! なに考えてんの違うってば! 先輩はね、ひとりぼっちの食事が嫌なだけなんだよ。


……でもこんなに喜んでくれているってことは、あたし、少なくとも先輩から嫌われてはいないってことよね?


いやいや! だから、嫌われてるとかそういうこと関係ないし! これは仲良くレッスンするための潤滑剤な意味であって!
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