期間限定『ウソ恋ごっこ』
「佐伯さん、おはよう」


息を切らせて走ってきた折原先輩が、あたしと伊勢谷先輩の間にズカズカと割り込みながら、トゲトゲしい声で挨拶してきた。


「お、おはようございます。折原先輩」


「あなたね、朝からこんな目立つ場所で司とベタベタするなんて、ちょっと礼儀がなってないんじゃない？」


朝からケンカ腰な折原先輩に、ＳＰ軍団の面々も待ってましたとばかりに同調する。


「ほんと図々しい。上級生に対して」


「ねー。厚かましいよね。新入生のくせに」


「こう言っちゃなんだけど、あなたちょっと生意気じゃない？」


あぁ、やっぱり始まっちゃった。集団イビリ。


あたしはなにも悪いことはしていないけど、ここで反論したら余計にこじれるのは目に見えている。


世の中、正論を主張すれば問題が解決するというわけでもないのだ。そんな単純に済むなら、警察も裁判所もいらない。


「おい、ネチネチうるせえよ」


同調圧力な空気を、一瞬で断ち切る声がした。近藤先輩がＳＰ軍団に向って睨みを利かせている。
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