期間限定『ウソ恋ごっこ』
先輩はすごくうれしそうな笑顔で言葉を続ける。


「あれは正直、感動した。司も感動したと思う。ずっと周りから虚像を要求されるばかりで、そんなこと一度も言われたことなかったから」


なんだかやたらと持ち上げられてる気がして、あたしは急いで首を横に振った。


「そんな大げさなことじゃないです。単純に、伊勢谷先輩の彼女になれるなんて夢にも思ってなかったからですよ」


伊勢谷先輩は、あたしにとって別次元の憧れの人。お空に輝くお星様みたいな人だから、とても手が届くような存在じゃない。


「だからせめて、紙吹雪のように先輩を引き立てることができたらうれしいなって……。あのときは、あたしの方こそ感動したんですから」


「感動? なにに?」


「近藤先輩の言葉です。『お前が一生懸命に降らせた紙吹雪、きっと綺麗だったと思う。それこそ夜空の星にも負けないくらいキラキラしてたはずだ』って言ってくれたんですよ?」
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