期間限定『ウソ恋ごっこ』
あのときの言葉、先輩の表情、しっかり覚えている。初めて近藤先輩から優しさを感じた驚きも。
思い出すと心がじんわり温かくなって、なんだか幸せな気分になる。
「あの学芸会の出来事は、あたしにとって一生残るだろうトラウマだったんです。それをあんな素敵な言葉で慰めてもらえて、すごくうれしかったです」
感謝を込めて先輩を見つめると、先輩はなぜか少し動揺したように頬を赤く染めて、あたしからそっと目を逸らした。
そして、すぐ近くの壁に取り付けてあるウッドシェルフに置かれた小さな丸い陶器を手に取り、あたしに見せた。
「これ、受け取ってくれよ。お前へのプレゼントなんだ」
「プレゼント!? あたしにですか!?」
驚いたあたしの両目が、その陶器に釘付けになった。
白地に淡いピンクの小花が描かれた、手のひらサイズの可憐な器。
これをあたしに? もちろんうれしいけれど、なんで?って気持ちの方が大きい。だって誕生日でもなんでもないのに。
陶器と先輩の顔を交互に見ていたら、あたしの困惑を察したらしい先輩が、軽く頬を赤らめてぶっきらぼうに言った。
「べつに深い意味はない。ただのボンボニエールだ。蓋を開けてみろ」
思い出すと心がじんわり温かくなって、なんだか幸せな気分になる。
「あの学芸会の出来事は、あたしにとって一生残るだろうトラウマだったんです。それをあんな素敵な言葉で慰めてもらえて、すごくうれしかったです」
感謝を込めて先輩を見つめると、先輩はなぜか少し動揺したように頬を赤く染めて、あたしからそっと目を逸らした。
そして、すぐ近くの壁に取り付けてあるウッドシェルフに置かれた小さな丸い陶器を手に取り、あたしに見せた。
「これ、受け取ってくれよ。お前へのプレゼントなんだ」
「プレゼント!? あたしにですか!?」
驚いたあたしの両目が、その陶器に釘付けになった。
白地に淡いピンクの小花が描かれた、手のひらサイズの可憐な器。
これをあたしに? もちろんうれしいけれど、なんで?って気持ちの方が大きい。だって誕生日でもなんでもないのに。
陶器と先輩の顔を交互に見ていたら、あたしの困惑を察したらしい先輩が、軽く頬を赤らめてぶっきらぼうに言った。
「べつに深い意味はない。ただのボンボニエールだ。蓋を開けてみろ」