期間限定『ウソ恋ごっこ』
コロコロと転がる様子はまるで、夜空の星が手のひらに落っこちてきて、慌てて動き回っているみたい。


ふふ、なんか楽しい。


「お前さ、『星には絶対に手が届かない』って言ってたろ? でも星は、ここにあるんだ。ちゃんとお前の手の中に」


金平糖をニコニコと眺めていたあたしは、その言葉に目を見開いた。


星は、ここにある? あたしの手の中に?


先輩はふわりと微笑み、また金平糖を数粒つまんで、あたしの手の中にポロポロと降らせた。


「金平糖の紙吹雪だ。お前が降らせた紙吹雪も、きっとこんなふうに綺麗だったろうな。夜空の星にも負けないくらいに、見た人を感動させたと思う」


あたしはなにも答えることができなかった。


胸の奥がジーンと熱くなって、膨らんで、ノドが詰まって声が出てこない。


あぁ、まただ。もう何度こんな胸の熱さを感じただろう。


どうしてこの人は、いつもいつもこんなふうに、あたしの心を揺さぶるの?


「グス……」


「お、おい。なんで泣いてるんだよ?」


それまで上機嫌で笑っていたあたしが、急に涙ぐんだものだから、先輩はすっかり慌ててしまった。


せっかくのきれいな金平糖の色が涙で霞んで、よく見えない。


でもね先輩、これが泣かずにいられる?
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