期間限定『ウソ恋ごっこ』
「さ、さあ。そろそろレッスンを始めるぞ。今日はシチューでも作るかな」


「は、はい。シチュー、いいですね」


「シチューは好きか?」


急に現実が動き出し、先輩がさっきまでのことを忘れたみたいな普通の口調で話しかけてくる。


あたしも、まな板を用意したりフライパンを出したりしながら、意識して普通に振舞った。


「シチューは大好きです。ホワイトソース系はどれも好きなんです」


「レトルトのルーがないから小麦粉からホワイトソースを作ろう」


「難しそうですね」


「大丈夫。コツさえ覚えりゃダマにならないから」


そう言いながら先輩がフライパンに小麦粉を入れて、乾煎りし始めた。
< 200 / 408 >

この作品をシェア

pagetop