期間限定『ウソ恋ごっこ』
たぶん、あたしがなにを言おうとしているのか敏感に察したんだろう。


先輩の動揺がこっちに伝わってきて、ますます心臓がドクドク跳ね上がって喉元までせり上がってきた。


好きな人に告白するなんて経験、生まれて初めてなんだもん。


そんな予定も覚悟もなかったから、あまりの急展開ぶりに自分でもめちゃくちゃ混乱しちゃってる。


頑張れ。頑張れ、あたし。人生最高潮に緊張してるけど、頭がマグマみたいに火照って今にも気を失いそうだけど。


それでも、言うんだ!


「あ、あたしが、好きな、人は……」


「言うな!」


あたしの小さな声を、近藤先輩の鋭い声が遮った。


あたしはビクリとして言葉を引っ込めてしまう。


そのまま目を丸くしていると、近藤先輩が厳しい表情で言った。


「それ以上は言うな」


「……なんで、ですか?」


「言ったら、ぜんぶ壊れてしまうから」


あたしはポカンと口を開けて先輩を見上げた。どういうことなのか意味がわかんない。


次に続く先輩の言葉を待っていると、先輩が一語一語丁寧に、ゆっくりと諭すように言った。


「お前がなにを言いたいのか、俺にはわかっているつもりだ。だから言うな」
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