期間限定『ウソ恋ごっこ』
今ではすっかり通い慣れた道の途中の、コンビニや老舗っぽい酒屋さんの前を通り過ぎながら、バカなことしようとしているかなぁって思ったりする。


でも仕方ないよ。あたしは近藤先輩が好きなんだ。


自分の本当の気持ちを納得させるには、これしか考えられなかった。


近藤先輩があたしの提案を受け入れてくれるかどうか、まだわかんないけど。


不安とか、期待とか、いろんな思いが頭の中で絡まっている。複雑な気持ちを持て余しているうちに先輩の自宅に着いた。


自転車から降りたあたしは、何度か深呼吸して緊張を鎮めようとして、結局緊張しながらインターホンを押した。


『……チビ?』


しばらく間があってから先輩の声で応答があった。


モニターに映ったあたしの姿に、少し動揺しているように聞こえる。


「レッスンを受けに来ました」


『…………』


「玄関開けてください」


先輩はなにも言わず、すぐにインターホンを切った。


これはどういう意味だろう。もしかして、このまま放置されちゃうかな?
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