期間限定『ウソ恋ごっこ』
「大丈夫。ここはあたしに任せて、美空は行って」


真央ちゃんは、強敵との戦いを前に主人公を先に行かせる漢気キャラみたいなセリフを言ってくれた。


本当に頼もしくて、ありがたくて泣けてきた。


近藤先輩との『ウソの恋人ごっこ』の事情は、もちろん真央ちゃんも知っているし、反対もされている。


今でも本心からは賛同していないはずなのに、こうしてあたしの気持ちを尊重してくれるなんて。


いつも思うけど、あたしにはもったいない親友だよ。


「ほらほら、そんな涙目で感激してないで早く行きなさいって」


「あ、ありがと真央ちゃん」


優しく微笑んでいる真央ちゃんの気持ちをありがたく受け取って、あたしは静かに席を立って図書室を出た。


出た瞬間から廊下を猛ダッシュして教室に戻り、バッグを持って再び猛ダッシュで生徒玄関へ向かう。


ちょうど靴を履き替えているとき、とつぜん校内放送で真央ちゃんの声が流れてきてビックリして、その内容にまた驚いた。
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