期間限定『ウソ恋ごっこ』
「ああ」
短い返事だったけど、先輩はあたしの言いたいことをぜんぶ汲み取ってくれたと思う。
だってあたしを見る目に、声に、静かな熱がこもっているのが伝わってきたから。
ふたりとも同じ気持ちなんだとお互いに知っていて、それを声に出せないことが、やっぱり切ない。
こんな堂々巡りの感情に振り回されるのが嫌で、あたしは話題を変えた。
「それにしても、大食いの彬がオムレツとサラダだけの夕飯で足りるの?」
「足りるわけねえだろ。じつはちゃんとほかの料理も作ってある」
「あ、やっぱり? そうだろうと思った」
「一緒に食べよう。冷蔵庫から出して温めるからちょっと待ってろ」
「はーい」
あたしは素直に返事をして、おかずを用意してくれる先輩の姿を眺めていた。
冷蔵庫の中を覗いたり、電子レンジを操作したりする先輩を見るのが好き。
いつもビシッとクールに決めてる学校の先輩とは違って、家の中の先輩は、なんていうかとても自然なのがいいんだ。
気負わない、飾らない先輩の姿はとても素敵で、ずっと見ていたいと思う。
でも、許された時間はあと五日しかない。
このまま時間が止まってしまえばいいのに。この家の中に閉じ込められてもかまわないから。
永遠に続く時間をふたりぼっちで過ごせたらどんなにしあわせだろう。
あたしに魔法が使えたら、きっと誰にも邪魔されないふたりだけの世界を造るのに……。
あたしは胸の痛みを押し隠してニコニコと微笑みながら、そんな夢のような願いごとばかりを真剣に考えていた。
短い返事だったけど、先輩はあたしの言いたいことをぜんぶ汲み取ってくれたと思う。
だってあたしを見る目に、声に、静かな熱がこもっているのが伝わってきたから。
ふたりとも同じ気持ちなんだとお互いに知っていて、それを声に出せないことが、やっぱり切ない。
こんな堂々巡りの感情に振り回されるのが嫌で、あたしは話題を変えた。
「それにしても、大食いの彬がオムレツとサラダだけの夕飯で足りるの?」
「足りるわけねえだろ。じつはちゃんとほかの料理も作ってある」
「あ、やっぱり? そうだろうと思った」
「一緒に食べよう。冷蔵庫から出して温めるからちょっと待ってろ」
「はーい」
あたしは素直に返事をして、おかずを用意してくれる先輩の姿を眺めていた。
冷蔵庫の中を覗いたり、電子レンジを操作したりする先輩を見るのが好き。
いつもビシッとクールに決めてる学校の先輩とは違って、家の中の先輩は、なんていうかとても自然なのがいいんだ。
気負わない、飾らない先輩の姿はとても素敵で、ずっと見ていたいと思う。
でも、許された時間はあと五日しかない。
このまま時間が止まってしまえばいいのに。この家の中に閉じ込められてもかまわないから。
永遠に続く時間をふたりぼっちで過ごせたらどんなにしあわせだろう。
あたしに魔法が使えたら、きっと誰にも邪魔されないふたりだけの世界を造るのに……。
あたしは胸の痛みを押し隠してニコニコと微笑みながら、そんな夢のような願いごとばかりを真剣に考えていた。