期間限定『ウソ恋ごっこ』
「いてっ!」


「セクハラする悪い子にはお仕置きです!」


そう言ってツーンと横を向き、ピザをバクバク食べ始めたあたしを見て、先輩はクスクス笑ってる。


「美空、俺に飲み物くれよ」


「無理。この体勢じゃテーブルまで手が届かないんだもん。飲み物取ってほしいならちょっと頭をどけて」


「嫌だ。この膝は俺の指定席だから動かない」


「……んもー」


そんなこと、すっごい爽やかな笑顔で言わないでよ。


胸がキュンキュンし過ぎてとろけそう。勝手に顔がヘラァっと崩れちゃう。


先輩があたしにくれる、いつも以上に甘い言葉や仕草のひとつ一つが、とてもうれしい。


恋人ごっこは今日で終わりだけど、できるだけあたしが悲しまないようにしてくれているんだね。


ありがとう先輩。
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