期間限定『ウソ恋ごっこ』
だから、あたしたちは今日でお終いになる。


大切な親友を犠牲にできない近藤先輩だからこそ、あたしは好きなんだ。


あたしを選べない先輩だから好きなんだよ。


それを口にはできないけれど、本当にあなたが大好きだよ……。


心の中で何度も何度も先輩に語りかけているうちに、時間はどんどん過ぎていく。


帰りの時間が近づいて、やがて壁掛け時計ばかりを気にするようになっていく。


あと一時間。あと三十分。あと十五分。


まるで、成す術もなく世界の終わりを待ち構えているみたいだ。


楽しそうにおしゃべりしていた先輩も、気がつけばなにも話さなくなっていた。あたしの膝の上で、まるで眠っているように両目を閉じてジッとしている。


テレビから流れてくる場違いに賑やかな笑い声を聞きながら、あたしは先輩の顔を黙って見つめていた。


どうかお願い。秒針、このまま止まって。


「そろそろ時間だな。家まで送るよ」


ついに恐れていた言葉が聞こえて、全身が氷を抱いたようにスーッと冷たくなった。


うろたえて反射的に歯を食いしばり、目の奥がじわじわと熱くなるのを必死にやり過ごす。


時間、きちゃった。どうしよう。


でも結局どうすることもできないあたしは、震える声で「はい」と答えた。



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