期間限定『ウソ恋ごっこ』
のろのろと帰り支度を整えて、先輩と一緒に家の外へ出て玄関に鍵をかけて、あたしたちは並んで夜道を歩き出した。
世界はすっかり濃紺色に染まって、その暗い空気に飲まれたみたいに、ふたりとも黙りこくっている。
沈黙が気まずくて、なにかしゃべらなきゃと思って息を吸っても、口から出るのは吐息ばかりだ。
なにを言えばいいんだろう? 『さようなら』? 『ありがとう』?
どっちも正しくて、どこか間違っている気がする。
いつもは自転車に乗って風のように通り過ぎていく道を、今夜はゆっくりゆっくり進みながら、国道の方へ曲がろうとしたあたしの手を先輩が掴んで止めた。
「人の少ない住宅街の方を通って帰ろう。美空と手を繋いで帰りたい」
「……うん」
あたしたちはしっかりと手を繋いで、そのまま真っ直ぐ歩いた。
道路の両脇にずらりと並び建つ家々の窓には、温かそうな明かりが煌々と灯っている。
世界はすっかり濃紺色に染まって、その暗い空気に飲まれたみたいに、ふたりとも黙りこくっている。
沈黙が気まずくて、なにかしゃべらなきゃと思って息を吸っても、口から出るのは吐息ばかりだ。
なにを言えばいいんだろう? 『さようなら』? 『ありがとう』?
どっちも正しくて、どこか間違っている気がする。
いつもは自転車に乗って風のように通り過ぎていく道を、今夜はゆっくりゆっくり進みながら、国道の方へ曲がろうとしたあたしの手を先輩が掴んで止めた。
「人の少ない住宅街の方を通って帰ろう。美空と手を繋いで帰りたい」
「……うん」
あたしたちはしっかりと手を繋いで、そのまま真っ直ぐ歩いた。
道路の両脇にずらりと並び建つ家々の窓には、温かそうな明かりが煌々と灯っている。