期間限定『ウソ恋ごっこ』
『憧れと恋ってさ、言ってみれば兄弟姉妹みたいなものよ。遺伝子はすごく近いけど本人じゃないの』


……あぁ、そうか。


そうなのか。


あたしは伊勢谷先輩を好きだと思っていたけれど、実際今でも好きだけど、好きの種類が違っていたんだ。


もっと早くに気がついていればよかった。


最初からその違いをわかっていたら、もしかしたら、こんなことにはなっていなかったかもしれない。


心の奥底で、伊勢谷先輩の勘違いを恨みがましく思うこともあったけど、そもそもあたしが先輩への憧れの感情を勘違いして、必要以上に騒いだせいじゃないか。


「あたしってやっぱりバカだ。救いようのない大バカだね」


『そんなことない。そんなことないよ、美空』


……いつまで話しても話し足りないし、思いも尽きない。真央ちゃんにお礼を言って電話を切り、スマホを放り出したあたしは、置物みたいに身動きもせずカーペットに座り込んでいた。


ひとりで考えれば考えるほど、自分が情けなくてみじめに思えてくる。
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