期間限定『ウソ恋ごっこ』
「でも美空ちゃんは誰かに材料を盗まれたんだし……」
あたしを庇おうとする伊勢谷先輩に最後まで言わせず、折原先輩がまくし立てる。
「今回は無理を言って調理室を借りたんだから、こんな個人的な理由ではもう二度と借りられないんじゃない?」
「べつに場所なんてどうとでも……」
「司は、佐伯さんのためだけに延期してあげたいの? あたしの不利益は考えてくれないの? 最初から佐伯さんありきなの? そんなの不公平よ」
折原先輩のたたみかけるような訴えと、涙目うるうる攻撃が始まって、伊勢谷先輩は困り果ててしまった。
実際、あたしをひいきしている自覚と負い目があるから、なにも言い返せないんだろう。
「と、とにかく、また調理室を借りられないか先生に相談してみるよ。美空ちゃん、俺に任せて待ってて!」
と言うなり伊勢谷先輩が調理室から飛び出して行った。
その背中をしっかり見送ってから、折原先輩があたしに向かって黒い薄笑いを向ける。
「ほぉんと、ひどいわねぇ。誰がこんな卑怯なことを考えたのかしらねぇー?」
アンタだよ、アンタ。こんなこと考えたのもやったのもアンタだよ。
というツッコミを心の中でつぶやいているあたしに、折原先輩は断言した。
「お気の毒だけど、勝負は勝負。お料理を作れなかった場合は、あなたの不戦敗ってことで納得してもらうわ。でもあんまり可哀そうだから、お情けであたしの食材を分けてあげる。感謝しなさい」
あたしを庇おうとする伊勢谷先輩に最後まで言わせず、折原先輩がまくし立てる。
「今回は無理を言って調理室を借りたんだから、こんな個人的な理由ではもう二度と借りられないんじゃない?」
「べつに場所なんてどうとでも……」
「司は、佐伯さんのためだけに延期してあげたいの? あたしの不利益は考えてくれないの? 最初から佐伯さんありきなの? そんなの不公平よ」
折原先輩のたたみかけるような訴えと、涙目うるうる攻撃が始まって、伊勢谷先輩は困り果ててしまった。
実際、あたしをひいきしている自覚と負い目があるから、なにも言い返せないんだろう。
「と、とにかく、また調理室を借りられないか先生に相談してみるよ。美空ちゃん、俺に任せて待ってて!」
と言うなり伊勢谷先輩が調理室から飛び出して行った。
その背中をしっかり見送ってから、折原先輩があたしに向かって黒い薄笑いを向ける。
「ほぉんと、ひどいわねぇ。誰がこんな卑怯なことを考えたのかしらねぇー?」
アンタだよ、アンタ。こんなこと考えたのもやったのもアンタだよ。
というツッコミを心の中でつぶやいているあたしに、折原先輩は断言した。
「お気の毒だけど、勝負は勝負。お料理を作れなかった場合は、あなたの不戦敗ってことで納得してもらうわ。でもあんまり可哀そうだから、お情けであたしの食材を分けてあげる。感謝しなさい」