期間限定『ウソ恋ごっこ』
「やっぱり諦めたくない、です」


そう結論を出したあたしを見て、真央ちゃんが「そう言うと思った」とニヤリと笑った。


だって、こういう妨害工作を受けて、なんにも出来ずに不戦敗ってのはおもしろくないじゃん?


やられっぱなしは性に合わない。折原先輩がここまでやるなら、こっちもやってやろうじゃないの!って負けん気がムクムク湧いてくるんだ。


それに、近藤先輩にレッスンしてもらったことを無駄にしたくない。


ここでスゴスゴと引っ込んでしまったら、ふたりで過ごしたあの時間が無意味だったことになって、消えてしまうような気がするんだ。


それは嫌だ。絶対に嫌だ。


「折原先輩に反撃するのは大賛成だけどさ、どうするつもり? 食材がないと料理はできないでしょ?」


真央ちゃんに言われて、うーむと考え込んだ。


これから一番近くのスーパーに行って、食材ぜんぶ買い揃えて戻って来てから、調理を始めるしかない。制限時間内に間に合わないかもしれないけど。
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