期間限定『ウソ恋ごっこ』
チラリと横目で折原先輩の様子を窺うと、あたしたちとは距離をとった調理台で作業しながら、余裕の鼻歌なんか歌ってる。
どうやら順調に重箱弁当の準備は進んでいるようだな。
厚いステーキ肉やら、プリプリしてるエビやら、彩り豊かな野菜やら、すごく美味しそう。
手際もいいし盛り付けもすごくきれいだから、美的センスはあると思う。なのに彼女が好むエプロンがアレっていうのは、とことん謎な人だ。
「美空、あたしも疲れた。そろそろ交代して」
「あ、うん」
真央ちゃんからパックを受け取って、また振り始めたけど、なんの変哲もない作業を続けていると不安になってくる。
折原先輩があんな豪華な重箱弁当を作ってる横で、あたしがやってることってパックを上下に振るだけ。
さすがに焦るし自分が地味過ぎて悲しくなってきた。
ーーチャポン
「あれ?」
急にパックの中から音がし始めた。振る動きに合わせて、チャポンチャポンと水音が聞こえる。
「真央ちゃん、なんか音がする」
「本当だ。なんか聞こえるね」
「これ、もう振らなくてもいいって合図なの?」
「あたしに聞かないでよ」
中でなにが起こってるのかな? 開けて確認したいけど、大丈夫かな? 開けるのちょっと怖い。でも見たい。でも開けるの怖い。
……なんか、玉手箱みたい。
どうやら順調に重箱弁当の準備は進んでいるようだな。
厚いステーキ肉やら、プリプリしてるエビやら、彩り豊かな野菜やら、すごく美味しそう。
手際もいいし盛り付けもすごくきれいだから、美的センスはあると思う。なのに彼女が好むエプロンがアレっていうのは、とことん謎な人だ。
「美空、あたしも疲れた。そろそろ交代して」
「あ、うん」
真央ちゃんからパックを受け取って、また振り始めたけど、なんの変哲もない作業を続けていると不安になってくる。
折原先輩があんな豪華な重箱弁当を作ってる横で、あたしがやってることってパックを上下に振るだけ。
さすがに焦るし自分が地味過ぎて悲しくなってきた。
ーーチャポン
「あれ?」
急にパックの中から音がし始めた。振る動きに合わせて、チャポンチャポンと水音が聞こえる。
「真央ちゃん、なんか音がする」
「本当だ。なんか聞こえるね」
「これ、もう振らなくてもいいって合図なの?」
「あたしに聞かないでよ」
中でなにが起こってるのかな? 開けて確認したいけど、大丈夫かな? 開けるのちょっと怖い。でも見たい。でも開けるの怖い。
……なんか、玉手箱みたい。