期間限定『ウソ恋ごっこ』
「生クリームはどうなった?」


「ずいぶん遅かったじゃない! こっちはもうヘトヘトよ!」


真央ちゃんが投げつけた紙パックを両手でキャッチした先輩は、耳元で軽く振って音を確認している。


「よし。これでいい。チビ、塩あるか?」


「塩? あります」


お塩の袋を持って近藤先輩のところに駆け寄ると、先輩はパックの口を開き始めた。


「さあ、どうなってるかな?」


おぉ、ついに中身が見られるんだ!


あたしと真央ちゃんが興味津々で覗き込むと、パックの中は白っぽい液体と、なにか柔らかそうな塊が入っている。


「この白い液がホエー。塊がバターだ」


先輩の言葉にあたしはビックリした。


これ、バター? あたし、知らないうちにバター作ってたの?


「バターって生クリームをひたすら振れば、出来るものなんですか?」
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