期間限定『ウソ恋ごっこ』

「司ぁー！」


静まり返った空気をひっくり返すような大声が響いた。


みんな驚いて振り向くと、部屋の入り口に折原先輩が立っていて、さらにビックリ。


近藤先輩に続いて折原先輩まで!?


ポカンと突っ立っているあたしと、折原先輩の目がバチッと合って、なぜか折原先輩の顔がサーッと青ざめた。


なにをそんなに動揺したのかと思ったら、折原先輩は、あたしの乱れた制服を凝視している。


……やばい、直すの忘れてた！


「司ぁ！　あんた、佐伯さんになにしたの!?」


叫ぶと同時に猛然と伊勢谷先輩に向かってダッシュしてきた折原先輩が、伊勢谷先輩の頬を平手打ちした。


スパーン！と、ものすごく切れのいい音がして、たまらず体勢を崩した伊勢谷先輩が床にスッ転ぶ。


その体の上に馬乗りになった折原先輩が怒鳴り声を上げた。


「バカ！　バカ！　司の大バカ！」


声と同じリズムで、スパン、スパンと連続平手打ちの音が鳴り響く。


「あたしは司のことが大好きよ！　だからこそ、司が間違ったことをするのは許さない！　そんなことは、あたしが命に代えてもさせないから！」