期間限定『ウソ恋ごっこ』
頭上の星と手を繋いで
「お前は、火力調節がヘタ過ぎなんだよ。だからいつも肉がパサパサになるんだって」
道路沿いの家々の窓の明かりと、点々と立つ街灯の明かりが、夜に染まった空気をぼんやり浮き上がらせている。
近藤先輩の家で料理レッスンを受けた帰り道。ふたり並んでゆっくり歩きながら、あたしは先輩がクドクドと繰り返すダメ出しに唇を尖らせて反論した。
「ちゃんと火が通ってるか心配なんだもん。彬だって生焼けのお肉なんか食べたくないでしょ?」
「炭になった肉だって食いたくねえよ」
「炭になるまで焼いてないもん! ちゃんとそのギリ手前くらいで止めてます!」
「堂々と威張るな。むしろ恥じろ」
いつもこんなふうに反省点を片っ端から指摘されてばかり。
せっかくふたりきりで過ごせる貴重な時間なのになぁ。
「それにしても、また料理レッスンを受けることになるなんて思わなかったよ」
あたしは足元の小石を軽く蹴りながらボヤいた。
伊勢谷先輩の家で和解をした次の日から、伊勢谷先輩と折原先輩はちゃんと登校を再開してくれた。
あれから、あっという間にもう二週間。
伊勢谷先輩のお弁当係は折原先輩が担当になったし、すっかり元通りの日常が戻ってきたけれど、密かに以前とは大きく違っていることがある。
それは、あたしと近藤先輩が両想いだってこと。
道路沿いの家々の窓の明かりと、点々と立つ街灯の明かりが、夜に染まった空気をぼんやり浮き上がらせている。
近藤先輩の家で料理レッスンを受けた帰り道。ふたり並んでゆっくり歩きながら、あたしは先輩がクドクドと繰り返すダメ出しに唇を尖らせて反論した。
「ちゃんと火が通ってるか心配なんだもん。彬だって生焼けのお肉なんか食べたくないでしょ?」
「炭になった肉だって食いたくねえよ」
「炭になるまで焼いてないもん! ちゃんとそのギリ手前くらいで止めてます!」
「堂々と威張るな。むしろ恥じろ」
いつもこんなふうに反省点を片っ端から指摘されてばかり。
せっかくふたりきりで過ごせる貴重な時間なのになぁ。
「それにしても、また料理レッスンを受けることになるなんて思わなかったよ」
あたしは足元の小石を軽く蹴りながらボヤいた。
伊勢谷先輩の家で和解をした次の日から、伊勢谷先輩と折原先輩はちゃんと登校を再開してくれた。
あれから、あっという間にもう二週間。
伊勢谷先輩のお弁当係は折原先輩が担当になったし、すっかり元通りの日常が戻ってきたけれど、密かに以前とは大きく違っていることがある。
それは、あたしと近藤先輩が両想いだってこと。