期間限定『ウソ恋ごっこ』
折原先輩と血で血を洗うケンカにならないか心配だったけど、毎日顔を突き合わせているうちに、お互いに『あたしと渡り合えるなんて、アンタたいしたもんだわ』って認め合うようになったんだ。


今じゃ不思議な友情まで芽生えつつあって、ほんと、人生ってなにが起こるかわかんない。


とにかく、そんな感じで学園内では近藤先輩と一緒にいられないから、自宅での料理レッスンを再開しようってことになったんだ。


レッスンなんて適当な理由で、きっと自宅でゆっくりラブラブするんだろうな~と期待してたけど……甘かった。


予想に反してガッツリ指導されてます。容赦ないのよ、この人。


「レッスンを引き受けた以上、俺にはお前を教育する義務がある」


あたり前のように言う近藤先輩を横目でチラリと眺めながら、あたしはまた唇を尖らせた。


ほんと真面目な人なんだから。……そーいうとこ好きだけど。


「なあ、今日も国道じゃなくて住宅街の方を通るだろ?」


「あ、うん」


住宅街を通る。イコール、手を繋いで帰ろうの意味。


あたしはいつも通り、ちょっぴり照れくさい気持ちと、いーっぱいうれしい気持ちを隠して、普通の顔してうなずいた。
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