期間限定『ウソ恋ごっこ』
住宅街の中には遊歩道があって、左右にズラリと並んだ背の高いイチョウの木々の葉が、夜風にサワサワ揺れている。
赤レンガを敷き詰めた暗い道を照らすのは、小さなガーデンライトくらい。
ここは夜になると特に人通りがなくなるから、安心して手を繋ぐことができる。
闇に紛れてあたしの手を握った先輩が、いつも必ず言うセリフを今夜も言った。
「怖くないか? なにがあっても俺が必ず守ってやるから安心しろ」
うん。知ってる。
あたしはニッコリ笑って、返事の代わりに先輩の手を強く握った。
さらに力を込めて握り返してくれる手のひらの大きさと、温もりが愛しい。
自分の鼓動がトクトクと優しく波打つ音を聞きながら、金平糖を散らしたようなきれいな夜空を、満ち足りた思いで眺めた。
「あたし、幸せだなぁ」
いきなりそんなことを言い出したあたしを、『急にどうした?』って表情で先輩が見てる。
夜の影に染まったその顔を見上げながら、あたしはしみじみと答えた。
「あの日、彬との別れを覚悟して歩いた夜道を、またこうして一緒に歩けて幸せなの」
赤レンガを敷き詰めた暗い道を照らすのは、小さなガーデンライトくらい。
ここは夜になると特に人通りがなくなるから、安心して手を繋ぐことができる。
闇に紛れてあたしの手を握った先輩が、いつも必ず言うセリフを今夜も言った。
「怖くないか? なにがあっても俺が必ず守ってやるから安心しろ」
うん。知ってる。
あたしはニッコリ笑って、返事の代わりに先輩の手を強く握った。
さらに力を込めて握り返してくれる手のひらの大きさと、温もりが愛しい。
自分の鼓動がトクトクと優しく波打つ音を聞きながら、金平糖を散らしたようなきれいな夜空を、満ち足りた思いで眺めた。
「あたし、幸せだなぁ」
いきなりそんなことを言い出したあたしを、『急にどうした?』って表情で先輩が見てる。
夜の影に染まったその顔を見上げながら、あたしはしみじみと答えた。
「あの日、彬との別れを覚悟して歩いた夜道を、またこうして一緒に歩けて幸せなの」