期間限定『ウソ恋ごっこ』
悲しくて悲しくて、絶望しかなかった。もう二度と、先輩と心から笑い合える日なんて来ないと思ってた。
あの日を思い出すたびに、今の幸せをより強く実感できる。
過去の苦しみは、ひとつ残らずあたしの中に生きていて、今のあたしを作り上げているんだなぁ……。
枯れるほど流した涙も、張り裂けそうだった胸の痛みも、よろこびと寂しさが背中合わせだったウソ恋ごっこの日々も。
「忘れたいほどつらい出来事だったけど、ムダじゃなかったんだね」
ほんわりと幸福感に包まれているあたしの話に耳を傾けていた先輩が、急に真面目な声を出した。
「なあ、美空。お前に聞いてほしいことがあるんだ」
「なあに?」
近藤先輩は急にあたしの手を離して、すぐ目の前の短い階段を駆け上がった。
そして一番上で立ち止まり、こっちを振り返って、じっとあたしを見つめてる。
階段の手前で見上げるあたしに向って、先輩は、これまで見たこともないような真剣な顔で言った。
「俺は、佐伯美空が好きだ」
「……!」
先輩の言葉が全身をイナズマみたいに駆け抜けて、一瞬息が止まった。
よほどビックリした顔をしていたのか、先輩が真剣な顔から一転しておかしそうに噴き出す。
「俺、まだちゃんと言ってなかったからな。本当の気持ちを言葉にして伝えたいと思っていたんだ」
あの日を思い出すたびに、今の幸せをより強く実感できる。
過去の苦しみは、ひとつ残らずあたしの中に生きていて、今のあたしを作り上げているんだなぁ……。
枯れるほど流した涙も、張り裂けそうだった胸の痛みも、よろこびと寂しさが背中合わせだったウソ恋ごっこの日々も。
「忘れたいほどつらい出来事だったけど、ムダじゃなかったんだね」
ほんわりと幸福感に包まれているあたしの話に耳を傾けていた先輩が、急に真面目な声を出した。
「なあ、美空。お前に聞いてほしいことがあるんだ」
「なあに?」
近藤先輩は急にあたしの手を離して、すぐ目の前の短い階段を駆け上がった。
そして一番上で立ち止まり、こっちを振り返って、じっとあたしを見つめてる。
階段の手前で見上げるあたしに向って、先輩は、これまで見たこともないような真剣な顔で言った。
「俺は、佐伯美空が好きだ」
「……!」
先輩の言葉が全身をイナズマみたいに駆け抜けて、一瞬息が止まった。
よほどビックリした顔をしていたのか、先輩が真剣な顔から一転しておかしそうに噴き出す。
「俺、まだちゃんと言ってなかったからな。本当の気持ちを言葉にして伝えたいと思っていたんだ」