期間限定『ウソ恋ごっこ』
「こ、近藤先輩!?」


スーパーアイドルが威圧的なオーラを放射状に振りまきながら、仏頂面で教室内を見回している!


なんで⁉︎ なんで近藤先輩が、あんな怖い顔してうちの教室の入り口に立っているの!?


「あ、本当だ。近藤先輩じゃん。……って、美空? なにしてんの?」


「隠れてるの……」


あたしは防災訓練のときみたいに、コソコソ机の下に隠れて顔を隠した。


どう考えても、先輩はさっきの件であたしに会いに来たとしか思えない。


だとしたら、ちょっとヤバイかも。


たしかにこっちは被害者だけど、冷静になって考えれば、先輩がわざと触ったわけじゃないのは明白で。


となると、あれだけ勢いよく平手打ちをかました場合、あたしの過剰防衛に該当するのではなかろうか?


もしかしたら先輩、怒って抗議しにきたのかも。


やだやだ。もう先輩とは話したくもない。あの人と関わるとロクなことがないんだもん。


どうかもうあたしに関するすべての記憶を抹消して、このまま帰ってほしい!
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