期間限定『ウソ恋ごっこ』
「伊勢谷先輩はどこにいるんですか? あたし、行きます」


そうするのが一番いい。


なんの用かわからなくて少し不安はあるけれど、優しい伊勢谷先輩ならきっと心配ないだろう。


「美空、行くことないよ。だいたい用があるなら向こうから来るのが筋でしょ?」


真面目な顔した真央ちゃんに止められたけど、あたしは微笑んだ。


「大丈夫。それに伊勢谷先輩に会えるんだもん。あたし行ってくる」


憧れの伊勢谷先輩と直接話すチャンスだ。


こんなすごい機会、もう二度とないかもしれない。だったら逃す手はないよ。


「司は生徒会室にいる。ついて来い」


そう言って先に歩き出した近藤先輩の背中を追って、あたしは歩き出した。


ちょっと後ろを振り返って、心配そうに見送っている真央ちゃんに笑顔で手を振る。


あたしは大丈夫だよ。行ってきます。


そしてあたしは前を向いて、教室から一歩踏み出した。









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