期間限定『ウソ恋ごっこ』
生徒会室はここから一階上にあるはずだから、てっきり階段を上がるのかと思ったら、先輩はエレベーターの方に進んで扉の前に立った。


白鳥学園に入学して、設備の豪華さに目を見張ることがたくさんあったけれど、これもそのひとつ。


エレベーターだよ? 学校に。すごくない?


でも同じカリキュラムで行動している数百人の生徒が、一斉に使用するにはさすがにキャパが足りなくて、乗れるかどうかは運が大きい。


それに一年生は上級生に遠慮するから、あたしはまだ利用したことがなかった。


まさか記念すべき初エレベーター体験を、近藤先輩とご一緒することになるとはなぁ……なんてしみじみしていたら扉が開いた。中には誰も乗っていなくて貸し切り状態だ。


先輩がパネルを操作して扉が閉まった瞬間、あたしは急に気まずさを感じた。


ぜんぜん意識してなかったけど、これって密室にふたりきりじゃん。
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